カウンセリングでヒューマンドラマなおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのカウンセリングでヒューマンドラマな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月06日の時点で一番のカウンセリングでヒューマンドラマなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.7 1 カウンセリングでヒューマンドラマなアニメランキング1位
NHKにようこそ!/N・H・Kにようこそ!(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (1547)
7930人が棚に入れました
大学を中退して4年目の佐藤達広は、ひきこもりとなっていた。佐藤は、自分が大学を辞め、無職でひきこもりであることなど全てが、謎の巨大組織の陰謀であると妄想する。その組織の名はNHK(日本ひきこもり協会)。そんな折、中原岬と名乗る謎の美少女が佐藤の前に現れる。佐藤をひきこもりから脱却させるべく、岬は「プロジェクト」の遂行を宣言。その「プロジェクト」の目的が不明のまま、岬による佐藤のカウンセリングが始まる。

声優・キャラクター
小泉豊、牧野由依、阪口大助、小林沙苗、早水リサ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ヒキコモリ君の妄想話とナメていたら、意外と確りとした《BMG/青春もの》でした!

※レビュータイトルでネタバレ防止のため、変な略語になってますが、BMG=ネタバレレビューを読むのことです。
もっとも、18歳のヒロインはともかく、主人公の方は22歳の青年なので、この表現にはちょっと語弊があると思いますが、一応、物語のスタイルとしては、そう要約するのが一番適当なのではないかと。

◆「もどかしい世界の上で」が流れ出す第13話が転換点なので、初見者はそこまで我慢してね!!

歌手で声優の牧野由依さんのアルバム『天球の音楽』(2006年12月リリース)には、『ARIA』で使われた「ウンディーネ」「ユーフォリア」「シンフォニー」、それから『ツバサ・クロニクル』で使われた「アムリタ」「ジャスミン」「夢のツバサ」といった私の好きな曲が沢山収められているので、そのCDを流しっぱなしにして度々ドライブをしていた時期が以前ありました。

そしてそのアルバムの4番目の曲は、最初は馴染みがなかったのでSKIPすることが多かったのですが、慣れてくると何だかこれも良い曲だなぁ・・・と思い始めて、そのうちその曲がくるとそこだけリピートすることが屡々ありました。

・・・そうやって、別段曲名を調べることもなく何となく曲調と歌詞はだいたい覚え込んでいたのですが、たまたま本作の第13話を見ていたら、そのエンディングに突然、この馴染みのある曲が流れてきて、驚いてようやく曲名を調べたら、これが本作2クール目ED「もどかしい世界の上で」だったんですね。

本作自体も、その第13話が、丁度全24話の折り返し点でありシナリオの転換点になっていて、それまで本作のことを、「情けないヒキコモリ君の妄想まみれの下らないコメディだろう・・・」とナメていた私の心が、第13話での意外な展開と、そこでEDとして初めて流れた本曲によって、一気に揺さぶられてしまい、あとは最終回までガッツリ作品世界に惹き込まれてしまいました。

ラスト2話では、それまで謎だったネタバレレビューを読むが過不足なくきっちり開示され、それに対するネタバレレビューを読むも中途半端ではなく納得できる結末まで確りと描き出され、視聴前には思ってもみなかった《感動》まで味わうことが出来、その直後から1周目の時は早々に「ながら見」になってしまっていた序盤からもう一度確り見直そう、という気持ちになりました。


◆本作は、ヒロインの《ulterior motive(アルテリア・モウティヴ 隠された動機)》に見どころがある優秀作

私がこれまで視聴した作品で、同系列(隠された動機系)の名作/優秀作/人気作としては

(1) 『アイドル・マスター』 (2011年)(25話+劇場版) ※個人評価 ★★ 4.7
(2) 『俺の妹がこんなに可愛いはずがない』 (2009,13年)(31話) ※個人評価 ★★ 4.6
(3) 『四月は君の嘘』 (2014年)(24話) ※個人評価 ☆ 3.9

・・・の3本が挙げられると思います。
要するに、この手の作品は、

<1> 1周目では、我々視聴者は、「視点人物」たる「仮・主人公」の少年(ないし青年(*1))のモノの見え方や心情に沿って、謎めいたヒロインの行動動機や心情を訝(いぶか)しがりながら物語を追っていくしかないのですが、
<2> それらが開示されたあとの2周目では、今度は「真・主人公」たる「ヒロイン」の心情が、各々のシーンでどのように描き出されているのか?を読み取り/確認しながら、物語を再度追いかけていく、

・・・という二重の楽しみ方を出来ることになります。

(*1)『アイマス』の場合は、プロデューサーの視点。

一応、ここで私の意見を率直に述べると、上記の3作品の中で本サイトの総合評点が一番高い『四月は君の嘘』の場合は、該当レビューの方にも少し書きましたが、2周目視聴時点で気づくヒロインの描かれ方が、やはりどこかいい加減で中途半端(※肝心のシーンで急にギャグ調の作画に切り替わって何だか胡麻化された気分になってしまう点が特に・・・)であり、“泣ける”作品としては非常に需要にマッチして良く出来ているのだろう、とは思うけれども、私などが好む“心情描写系”作品としては、いまいち粗雑な出来なのでは?と思ってしまいます(※そのため私の個人評点もそこそこに留まる)。

一方、本作の場合は、いざ2周してみると存外にヒロインの側の《心情描写》が確りしている、というか、気合を入れて見ていなかった1周目では見過ごしてしまっていた彼女の心の動きが、実に細かくキチンと描き出されていることを、あちこちのシーンで確認できて、視聴時の満足度が跳ね上がってしまいました。

⇒ということで、本作の個人評価を、『君嘘』よりはだいぶ高いけど、『俺妹』よりはやや低い、★ 4.4 とします。

※ヒロインには大きく感情移入できたけど、ヒキコモリの主人公の方は色々とマイナス点が多くて、『俺妹』ほどには評価が高くなりませんでした(←それでも最後はネタバレレビューを読むので、完走後の後味は悪くないはず)。

《まとめ》
本作は、序盤の主人公のネガティブさに閉口してしまう方が多いと思いますが、そこを何とか我慢して切り抜ければ、中盤過ぎから急に面白くなり、最後は感動も出来てしまって、さらにもう一周したくなる、1粒で2度美味しい《感情描写系》の優秀作と思います。
とくに、『俺妹』や『アイマス』を、途中で飽きてきて断念したくなりながらも、頑張って視聴を続けたところ、途中から急に楽しくなって最後は確り感動できた人には、割と同様の視聴経験が出来る作品として、お薦めしたくなりました。


◆視聴メモ(2周目)

※上記のとおり本作の1周目の半ばまで、「ながら視聴」して視聴メモは全く取っていませんでした(従って以下のメモは2周目時点のものです)。
ネタバレレビューを読む


◆制作情報
ネタバレレビューを読む


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================== N・H・Kにようこそ! (2006年7-12月) ================

 - - - - - - - - OP「パズル」、ED「踊る赤ちゃん人間」 - - - - - - - - -
ネタバレレビューを読む

 - - - OP「パズル -extra hot mix-」、ED「もどかしい世界の上で」 - - -
ネタバレレビューを読む
------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)15、☆(並回)6、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4


最後に一言。
本作には、確率1%の「N・H・Kの陰謀」が確実に存在する!
そう、それは「ネタバレレビューを読むの陰謀」なのだ!!!
←この陰謀はアリだと思った(※『俺妹』の桐乃よりもずっとリアリティありそう)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 25
ネタバレ

buon さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ああ、売れないわけだ。超怒級ドM専用の名作

これ、痛みを一つも覚えず完走できるヤツはアニオタにいないだろうな。
1話見て「3チャンにしては過激だなぁ」とか思ってたら、民放やんw
これ怒られんかなww
元ネタとして使われているローマ字のとこの風刺とか、なんか込められてるでしょ。
最初は「NHKのお仕事現場をアニメにしました」ってドキュメントっぽい
『働くって素晴らしい♪』って感じのお仕事紹介アニメだと思ってた。
ええ、ある意味、ビシバシ刺激を受けて労働意欲増進、食欲旺盛になりましたとも。

◇小説原作!?、2クール、全24話、一冊だから買っちゃった♪

誰でもこれ観たら何かしらドコかしら痛いだろうな。
四畳半を観たときに感じたものに近い感覚があるが、破壊力が30倍増し。


さて、アニメ業界の購買層のシェアはどんなもんなんだろう?
廃人(引き籠って、資金源が自分以外にある)、
お得意様(働いたお金をほぼ全額アニメ業界につぎ込んでくれる人)、
この層が厚いと売れないだろうね。

魔法使い、童貞、最近じゃセカンド童貞という言葉もあるらしい、
そこら辺の層もどうなんだろう。
ぶっちゃけダメ人間の素養がある人間の方が購買力あると思う。

リア充、あるいはどん底から完全に立ち直った人間に購買力があるとは思えない。
・・・って言うか、完全に立ち直るとか、真人間とかいないけど。
リア充と呼ばれている人もお花畑をフルタイムで漫喫してるわけなじゃいけど。
むむむ、オレは一体何を言っているんだ?? w

要するにダメ人間が買いたくなくなるような作品。


☆あらすじ☆
ニートの佐藤くんが新興宗教チックな女神の岬ちゃんに救済の手を差し伸べられる話。
★そんだけ★じゃないよーw

こういうのを「アニオタへのアンチテーゼ」「現代アニメのアンチテーゼ」とかいうのかな。
ってアンチテーゼってなんだよwググった、命題の反対って、数学か!弁証法って久しぶりだよ!!
使用例はなんか見たことあるからなんとなく分かるが。

思考に支障を来す様な作品だった。
内容は↑に書いてある分の感想を見たらなんとなく分かるっしょ。

ドMにオススメ、あとは岬ちゃんに惚れたら観た方がイイ・・・のかなぁ。
とりあえず、一回観てみな。

ちょっと残念なのが1~5話までエロゲとか変態チックな話がメインなことかな。
それが取っ付きにくさとなってるかも。
あと作画がひどい回が2,3回ある。一応、女の子の出番が少ない回とか選んでそうだから、
オレとしてはあんまり気にならん。ネタと思ってる。

この作品でも言ってたが、挙げられていたのはエロゲだけど、
「消費者は現実なんか求めていないんだよ!」って方にはオススメしない。

それにしても、山崎イイヤツ過ぎるな。なんだかんだで佐藤くんもイイヤツだな。
でも佐藤は完全にニート貴族。タバコに酒に、それだけで少なくとも毎月2万円超えてるだろw


そう言えば友人が言ってたが、
今の社会は「イイヤツが上に登りづらい」って。
オレは「イイヤツは上にいない」って思う。下にもね。ドコでも誰でも住みづらい世の中だよ。


OPすげー好き☆☆☆☆☆ 何、この溢れる名作臭w
EDも好き★★★★★ 虐めたいの? ええ、虐めてください♪
2クール目のEDは牧野さんの歌、こっちもええ♪♪
・・・あの赤ちゃん人間の絵、どこで見たっけなぁ~

ああ、1つだけ言っておかないとな。
ネタバレレビューを読む


※※以下、断定口調で述べますが語尾に「気がする」を付けて読んでね♪


この作品の裏を読むと面白いことが三つある。

一つは、誰も死んでないこと。
引き籠りもその素質があるヤツも「死にたい」とか簡単に口にするけど、
こういう人間って大抵は犯罪するようなこともないし、自殺することもない。
よく「自殺する勇気がない」とかいう言葉を耳にするが、
「~する勇気」って、あれ、勇気じゃないから。
本当に死んでしまう人は、悩むことや勇気とか、そういうの通り越して何も考えてないし、
考えられない。
だから考えられる人間は引き籠る余裕がある。

もう一つは、ラスト2話の前に引き籠りを脱出する例が2つあったこと。
1つは、見栄のために働こうとしたこと。
「かわいい女の子に引き籠りと思われたくない」
もう1つは委員長の兄ちゃんがアルバイトしてたこと。
「飯を食わせてくれれば何でもする」
兄ちゃんのが一番強い理由になる。
女の子にカッコ悪く思われたくない、とかの理由もイイ。
「空腹」「カッコ悪い」とかこういうマイナスの方向の動機は実に行動しやすい。
とりあえず佐藤くんは、
バイト先に岬ちゃんがいなかったらあの時点で引き籠り、ニートでなくなったかも。
あの動機付けで続くかは知らん。
ちなみに「岬ちゃんと付き合いたい」とかあまりにも明確な動機だと、長続きしない。
動機は単純で切実な方が、脱する力は強い。

最後は、実は周りの支えが引き籠りを脱するのを阻害していたこと。
単純に山崎や岬ちゃんがいなければもっと早く引き籠りを脱してたかも。
あの天使のような岬ちゃんが佐藤くんの自立を阻害してたかも、
という事実がなんか悲しい。
佐藤くんに関してだけ言えば、
彼自身はダメ人間だがどちらかというとイイ人間。
母さんに罪悪感を感じ、自分の状況をある程度理解していた。
しかも、妙な見栄があって餓死しそうになっても北海道に帰らなかった。
(帰るという選択肢がなかったから、交通費を残すなんてことを考えなかった。)
となると働くしかない、という状況は遠からず来ていた。
岬ちゃんや山崎が食糧支援してたから、飯の点だけでも、窮地からは遠のいた。

こういう見方をすると恐ろしいなw
もっとも、怪しい自殺のお誘い、マルチ商法地獄エンドから逃れられたのも、
あの2人の支えがあったから、という物語としての事実がある。
それに人間的な成長に大きく貢献していた。


この作品は物語として極端ではあるが、引き籠り・ニートについてよく表していた。

引き籠りの脱し方は最終話まで観ても、一話の結論から少しも変わっていない。

最後は岬ちゃんと恋人エンドっぽいけど、結局チューすらしてないし、
幸せなのか、幸せになれるのかもわからない。

ダメ人間同士が傷を舐め合っているだけにも見えるが、
それでも生きている、それで死なないなら御の字じゃん。

何でもいいから働いて生きろ、って単純なメッセージを私は勝手に受け取りました。
曲解して「かわいい女の子と楽しい時間を過ごしたいなら働け」ともw
あ~、オレもかわええ女の子とイチャイチャして~www



小説のプチ感想 {netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
小説だと山崎も佐藤くんもかなり末期だなw

アニメの元ネタは1クール分ぐらいしかなくて、
大筋の流れは同じでも、その過程が大分異なるので、アニメと小説で2度楽しめる。
岬ちゃんについて詳しく書かれているから、感情の入り方が変わった。

どっちにしても、凹む内容だwwwww

アニメは、カッコいい山崎とアクティブにダメな佐藤くん、可愛く献身的な岬ちゃん、
2クールでちょっとダラダラだが、エンターテイメント性の富んだ作品。
小説は、末期な佐藤くんとかなりダメな山崎、淡白な岬ちゃん、
1冊だけをサクッと読めて、より無情感を楽しめる作品。時間的にはこっち。

それにしてもアニメの脚本家?さんスゲーな。
よく小説を消化して昇華させたもんだ。
オリジナル要素てんこ盛りなのに、本質的には変わっていない。

小説は挿絵ないし、アニメ観た方が情景が思い浮かべやすいので、
岬ちゃんの可愛さを漫喫したかったら先にアニメを。
先に小説を読むと、きっと主人公と自分、他の登場人物も知り合いに入れ替わるから、
ドM日本代表は先に小説を。

どっちから入っても楽しめると思う★ ヒッヒッヒ

投稿 : 2025/03/01
♥ : 21
ネタバレ

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

「じゃ、また夜に、公園で。」

2話でヤマザキ君がちゃんと出て来るまで
「ひょっとして…この隣人は孤独死していて、ついに主人公は発見してしまうのではないか。夏場だし死体の腐敗もきっとひどい。引きこもりの末路を見た彼は、部屋から出る決心をするのでは…」
という展開を妄想して、ヒヤヒヤしていました。
いや、壁の向こうで同じ曲がループ…というのがそう思わせたのでした。
みさきちゃんも、「本当に存在するのだろうか…彼にしか見えなかったら…」とか。
身構えて見てたのですが、何やら物騒なことを見せそうな雰囲気がビンビン漂っていたのですよ。

内容は、痛い。序盤は特に痛い迷走ですね。
考えたくない事から目を逸らすのに必死になってエネルギーを注ぐ事で、また目を逸らしたい事実を作ってしまう。
横道でも、邪道でも、真剣に楽しめれば、楽しませられれば、それが突破口になることもある!?
目指せ、わらしべ長者。でも、求めることはすぐに等価交換はでき無くて…。

人間万事塞翁が馬、いいと思った事、ダメと思った事も、ゆくゆくはひっくり返ったりもするような話なのかな…?と思いつつ視聴。

序盤。ヤマザキの切れやすさと主人公とのやりとりが、コメディとして楽しいです。
他の方のレビューにもあったれど、仲間の出来方が確かに急かもしれない。こんなに仲間が居るじゃないですか、主人公…。

7話まで
岬ちゃんのプロフィールを知ろうとしないのが不思議だった。どうして相手が自分に興味を持ったのか、気にならないのかな。
ネタバレレビューを読む

10話くらいでやっと岬ちゃんのバックボーンが気になり出して、 ネタバレレビューを読む
ひょっとして、このアニメの展開は、
「どの選択肢を選んでも他人に委ねる限りはうまくいかない」…っていう話なのだろうか。

12〜13話
どんな暗い話になるのかと思いきや、サスペンス調でドラマチック。そうくるか!てとこが多くて、面白かった。
ネタバレレビューを読む

16、17話
ああー、やっぱり、「他人に委ねる限りはうまくいかない」流れが来た。ネタバレレビューを読む

18話
クーリングオフ大作戦。
ネタバレレビューを読む

19話
でもやっぱり仲間がいてよかったよ…。
ネタバレレビューを読む
生命維持のための焦りと、
受け入れて見守ってくれる周囲の支えが、自立の支えになるという話。
他人の間で必要とされたいという本人の切実さ、も大事かなあと感じます。

21話ネタバレレビューを読む

23話あたりからは
岬ちゃんとサトー君との間がいよいよ佳境に。
やっと岬ちゃんの故郷について、ふと聞いてみるサトー君ですが、さびしいからそばに居て‼という岬ちゃんの切実な告白に、
やっぱりまた身を引いてしまう。まだまだ心の中のさびしさの実が熟さないんでしょうか。
でもちょっと男の子らしいと思えた。

ここからのラブストーリーはとても丁寧で、終わった時には岬ちゃんとサトー君のカップルが何だか好きになっていました。

ひきこもりがテーマの、回りくどいラブストーリーだったのかもしれない。
同じようなひきこもり・卑屈脱却を描いた四畳半神話大系と比べても、とてもリアルな描写が多くて重い部分もありましたが、コメディの効いたドラマチックな面も多くて見応えがありました。

とても読みづらいレビューになってしまいました。御一読ありがとうございます。でも何か、色々語りたくなってしまう作品ですね。
他の方たちのレビューも面白く拝見できた不思議な作品でした。

投稿 : 2025/03/01
♥ : 28

65.9 2 カウンセリングでヒューマンドラマなアニメランキング2位
空中ブランコ(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (271)
1411人が棚に入れました
不眠症を患うサーカスの空中ブランコ乗り・山下公平は、着ぐるみを着た謎の精神科医、伊良部(いらぶ)一郎の診察を受けた。
それからというもの往診と称し公平につきまとう伊良部だが、公平のもとを訪れるヘッピリ腰の区役所職員やスキーゴーグル着用のヤクザといった、ちょっと変な人々をおもしろがってばかりいた…。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、朴璐美、杉本有美、森川智之、三木眞一郎、浪川大輔、平田広明、入野自由、高橋広樹、岩田光央、羽多野渉、置鮎龍太郎、古谷徹

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

伊良部先生…なんか変に格好良すぎない?(求めてない)

 簡単に言うと、精神科医伊良部の元に、たくさんの精神的な問題を抱えた患者たちが現れ、回復していく短編集。
 なかなかポジティブな気持ちになれる良い作品です。
 
 原作は奥田英朗の「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」「町長選挙」の伊良部シリーズの既刊三作(2016春現在)から。
 私は奥田ファンでもあるので、すべて読んでいて、特に「空中ブランコ」は直木賞を立派に受賞している名作。「イン・ザ・プール」はギャグ色ばかりが強く、「町長選挙」は正直つまらない。「空中ブランコ」はギャグと一種の感動も詰まっている名作なので、読むならこれだと思う。(時間があるならイン・ザ・プールから読むべきですし、普通にオススメしときます。)

 このアニメ「空中ブランコ」についてですが、独特な作画・演出に独特な内容…変わったアニメが観たい方はチェックしとくべき作品です。
 いい感じにスッキリEDに入る話が多くて、気分のいい作品だと思います。
 電気グルーブのOP・EDは凄く癖になるいい曲です。


以下やや批判的な長めの駄文

このアニメの好き嫌いが分かれそうな演出
・患者の男たちを演じる声優が豪華なんですが、たびたびキャラの顔が演じられている声優さんのものになる
・福井謙二アナウンサーがたびたび解説を加える
・エロい感じのナースが実写である
・色合いが過剰にカラフル
・主人公「伊良部」への原作イメージが崩れないよう伊良部は3パターンある

 個人的に声優の顔になる演出は、慣れたので大丈夫でした。
 アナの解説は、正直いらないです。ただ、トンデモ医学って感じの原作に比べ、アニメ伊良部は割としっかり医学してるみたいなので、解説はあっていいのかも…
 ナース実写も、色合いも正直好きじゃないです。伊良部は変わった人間ですが、あんな芸術的な部屋で診療してるイメージは全くありません。

 そして伊良部に3パターンの演出ですが…正直意味が分からないです。伊良部は「色白のデブ」で「マザコン」で「小学生並みの思考」で「常識が一切通じない」タイプだったはずでは?
 アニメの伊良部は基本的に知的であり、ふざけてるシーンも計算で、決めるところはクールに決める、まるでイケメンな感じの精神科医。
 一方原作伊良部は、適当な解説を加えつつも、基本的に考えずに行動して患者を振り回し、患者さんはあきれる中でヒントをもらい、勝手に回復に向かっていく…。まさに「愛すべき馬鹿医者」
 テイストが全くもって異なっていて、イメージを壊さないための演出だとするなら、感性が全くもってずれている気がする。
 むしろ原作との乖離を際立たせる演出だと思います。

 最後に物語ですが、一話「空中ブランコ」を観た全国の原作ファンは「違う、そうじゃない!」と感じたでしょう。クスッと笑える良いラストシーンなのに…何故変えた!伊良部の阿呆さ加減を変更しているのだから仕方ない気もしますが、勿体ない!話もなんかフワフワしていて、分かりづらく、これだと1話で離れてしまう方が多い気が…。

 あと3話の「恋愛小説家」は原作では「女流作家」なのですが、患者の友人のキャラが個人的に大好きなのに、一介のモブに格下げされていて、目茶苦茶がっかりしました。本当に格好いいキャラだと思うんですが…是非原作「空中ブランコ」をチェック!

 アニオリについては、10話と最終回の11話は、アニメオリジナルだと思うのですが、10話の「オーナー」は演出を含め、凄く良かったです。逆に、最終回の「カナリア」はなんか嫌でした。無理矢理最終回っぽくしたって感じですかね…

 なんか長くいらないこと書いた感じですが、すごく特徴的なアニメで、合う人には合うアニメです。アニメ好きならチャレンジしてみてはいかが?

投稿 : 2025/03/01
♥ : 10
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

この滅茶苦茶な作品は「完璧なものは存在しない」と身を以て示している

色々な意味でぶっとんだ作品。作画には実写が混じり、主人公は三体に分裂し、色彩は眩しいほど派手やかで、扱う内容はデリケートな「心の病」という、一癖も二癖もあるアニメ。お勧め出来る作品とは決して言えないものの、心の病という日の当たらないテーマを扱ったことだけでも意義があり一見に値する。精神科が舞台とはいえ内容は重くなく(寧ろ軽い)、症状も身近なものを扱っている。話は一話完結型であるが、すべての話が繋がっており一つの作品としてしっかりと完成されている。

主人公である精神科医・伊良部一郎はとにかく破天荒だ。そんな主人公の元に様々な症状を患った人々が訪れるのだが、訪れた患者は「とりあえず」ビタミン注射を打たれてしまう。主人公と患者、「どちらが症状を患っているのか?」、そんなことすら思うほど主人公(クマ)の破天荒ぶりは凄絶だ。それをイラッと感じるか、クスッとするかは人によるだろうが、精神疾患という微妙な題材故に好みや評価は極端に分かれるかもしれない。それに加えてこのアニメは「ふざけること」に主眼を置いているようにも思える。

ネタバレレビューを読む

投稿 : 2025/03/01
♥ : 5
ネタバレ

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「精神科」を題材にしているという時点で、既に賞賛に値する

かなり視聴者の間で賛否の分かれたという、斬新なテーマ性と演出が際立つ本作だが、私は大いに「賛」の方に一票入れたい。

今でこそようやく日本でも「メンタルヘルス」などという言葉が聞かれるようになり、精神疾患に対する認識も広がっては来ていると思うが、まだまだ偏見や誤解は多い。

この手の病に関わったことのない人がこのアニメを見ると、主人公の精神科医・伊良部を「心を病んだ患者に破天荒な荒療治を施すアホ医者」と評するかもしれない。

逆だ。確かにアニメとして・娯楽作品のエッセンスとして、現実離れしたぶっ飛んだ行動を伊良部は取っているが、本質的には実際の治療で用いられる「行動療法」を、人を食ったような態度を取りつつも、その実、一人一人の患者の症状に合わせて、向き合い・実践している。

これができる医者は現実には少ない。伊良部はそういった意味では十分過ぎる程に、名医なのである。

演出に関しては、ビビッドな色使い、3変化する伊良部、実写のナース、通行人などのモブキャラは段ボールに絵を描いたようなペラペラ姿…というだけで、他に類を見ない演出だというのに、加えて…

各話の主人公となる患者の声優の顔が、アニメにコラージュされて、時々(顔だけ)実写になるという点には驚いた。新しすぎる。

しかし、作り手側にとって本アニメの最も挑戦的だったであろうこの「声優の顔コラージュ」に関しては、関連項目の★を下げさせてもらった。

なぜならば、重要なシーンでの患者の表情がアップになる場面や、そのエピソードに於いては最もキーとなる台詞が語られる場面で、急に患者の顔がアニメから実写になると…

「金歯…」「わ!この人、女の子みたいに眉剃ってる!」「ここで、その表情はないわー…」

…と内容に集中できず、気が散ってしまうのだ。
何気ないシーンにだけ、実写顔を使っていたら、「面白い!新しい!」と思えたのだろうけれど…

逆に、作中最も雑な扱いを受けているのが、段ボールタッチで描かれているモブキャラ達である。

仮に「モブキャラ=健常人・社会全般」と捉えると、この描き方に私はある種の爽快感を感じたが、実はこれ考えようによっては非常に残酷な現実を表している。

要はこういう「薄っぺらな社会」や「他人の気持ちを顧みない人々」が、不器用でも真面目に生きようと懸命にもがいたり、繊細な心を持つ人々を「病」に追いやっているのだ。

最終話で伊良部が放つネタバレレビューを読む は、実に「その通り!」と私は声を大にして言いたい。

一見ギャグタッチで描かれ、現実離れしているように見える本作だが、内容そのものは決してオーバーではない。
特に患者の言動や症状は、どれもある種テンプレート的な典型例だ。

あらゆる人に、是非お勧めしたい作品。

そして、これを見て身近に似たような状態の人が思い当たるようなら、できる範囲で手を差し伸べてあげてほしい。

ただ、伊良部のようなアプローチ方法は、超高等技術なので絶対に真似してはいけない!(笑)

投稿 : 2025/03/01
♥ : 13
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